聴いてきた♪ 川口成彦@彩の国さいたま芸術劇場

概要

日時:2020年11月03日(祝)15:00~
場所:彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
出演:川口成彦
曲目:
アルカン :
 波打ち際の狂女の歌 作品31-8
 幻影 作品63-1
 嘆息 作品63-11
 ないしょ話 作品63-9
 初めてのラブレター 作品63-46
 友情 作品32-2
 私の大切な束縛 作品60-2
 舟歌 作品65-6、戻らぬ時間 作品31-12
 叱責 作品63-10、戦慄 作品63-7
 偽りの無邪気さ 作品63-8
 小スケルツォ 作品63-47
 夢の中で 作品63-48
 荒れ模様 作品74-10
ショパン : 24の前奏曲 作品28

はじめての彩の国

11/3は、私的にはコンサートの旗日そのものでありまして・・・
鈴木優人さんの「リナルド」@オペラシティも、石田泰尚×阪田知樹@みなとみらい、外山啓介@稲城 とかが行きなれたホールで開催されてるちょうどその時、私は、お初の彩の国。



彩の国芸術劇場主催公演で、「ピアノ・エトワールシリーズ」という企画があり、藤田真央(当初予定は5月→来年2月に延期)とチャクムル(来年1月予定。本当に来日できるの不安が残る)と、今日の川口成彦さんの3回のセット券というのを買ってたんです。
セット券が発売されたのが今年の年始早々で、コロナ禍前のこと。

その後、コンサートは中止・延期が相次ぎ、しばらくはコンサートの予定も立たず、その後はいろんなものがリスケされて発表されたり、チケット払い戻しのリスクを最小限にしたいためかコンサートの情報もチケット発売時期もかなりギリギリになってから発表されてくるので、結構つらいものがあるのですが(涙)

それでも、彩の国のセット券はいったん全席払い戻しになることもなく、無事に今日開催されることになって本当にうれしい。
5月の真央くん延期が決まった時点で、希望者は払い戻しできる期間があったけれど、なんとなく持ち続けていたチケットなので、彩の国を信じててよかった~!と。

(ちなみにみなとみらいで買っていた藤田真央くん含むセット券は夏頃全席払い戻しの上、再度チケット販売されるという事態におちいり・・・再販売でチケット取り損ね・・・という悲しい経緯)

そんなわけで川口成彦さん

第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールで2位受賞され、一躍有名になったピアニストさん。そもそも、このコンクールのことも、川口さんが受賞されてから知ったのだけれども。
ショパンの作品を当時の楽器で弾くコンクール。なるほど・・・それは興味ある世界。作曲家自身が聴いていた世界が再現されるのだし。



さて、今日のプログラム。
ショパンをフォルテピアノで聴くというのももちろん興味のあるところですが、私的にはアルカンのほうに興味がありました。

アルカンといえば、言わずと知れた森下唯氏が思い浮かびます。(←私的には、年中行事的に毎年リサイタルを拝聴しておりますが・・・今年は中止みたいで残念)
最近では藤田真央くんも「イソップの饗宴」を弾いてました。(←チケット、再発売された時に取り損ね、ライブで聴いたけれど・・・)
どちらも、モダンピアノで演奏されます。それはそれで素晴らしい世界なのですが、アルカンの生きた時代にはモダンピアノはまだ存在していませんでした。
それをフォルテピアノで聴けるとは・・・こんな機会、めったにありません。

前半はアルカン

ステージに登場した川口さんは、「波打ち際の狂女の歌」~「初めてのラブレター」までを一気に演奏されたあと、立ち上がり、MC。

MCはアルカンについての概説(ショパンと3歳違いで、パリではすぐご近所に住んでいて交遊もあった等)をざっくり話されたあと、川口さんとアルカン(の曲)との出会い、今日の選曲についてなど。
アルカンとの出会いは10数年前、「鉄道」だったそうで、そこでアルカンの「超・超絶技巧っぷり」にゾクゾクされたと。(ちなみに、リストは「超絶技巧」で、アルカンはそれに輪をかけて「超」がつく存在と)
そして2年前にコッホランドのCDを聴いて、「超・超絶技巧」ではないアルカンの曲たちにゾクゾクきたそう。
「エスキス」Op.63の世界は、人間の世界をはるかに逸脱した恐ろしい精神世界だし、川口さんが一番恐ろしいと感じられたのは「舟歌」Op.65-6だとかで。

なんだっけ? 正確な言葉は失念したけれど、「舟歌」は(イタリアのあっけらかんとした舟歌とは対照的な)冥途へ誘うような世界だと。

そして「友情」~「荒れ模様」までを演奏されたわけですが、なるほど、今日の選曲はそういう構成なのかと・・・たぶん、今日の構成曲から川口さんの頭の中でひとつのストーリーが組みあげられて、ひとつひとつの曲がそのエレメントとして置かれていったんだなぁ・・・と。

後半はショパン

前半が終わって休憩・・・と思いきや、川口さんはステージで再びMC。
後半のショパンについての解説。
ショパンのプレリュードOp.28も、短い曲が24曲で構成されているのですが、1曲目の明るい世界から、2曲目いきなり葬送行進曲のような世界に急転直下で変わるとか、これはまさにショパンの精神世界であると。常に病とともにあったショパン自身の人生晴れたり曇ったりの世界。
アルカンの小品群が人知を超えた世界観にあるとすれば、ショパンのこれはまさにショパンというひとりの人間の感情世界なのだと。

ということで、前半の最後に後半のショパンへの誘導をされているので、後半は演奏だけに集中されます。

ショパンは、モダンピアノで演奏される機会がとても多いので、ある意味それが耳にこびりついているのですが、フォルテピアノでこの作品を通して演奏されるのを聴いたのは初めてです。
ところどころ、「あ~、そういう響きなん?」という、新鮮な驚きがありました。

そもそも、モダンピアノのように「爆音」が出せる楽器ではないのに、本当に楽器をよく研究されていて、いろんな試みをされていて素晴らしい音楽を作ってらっしゃった。

アンコールは、ショパンの弟子のフィルチという人(14歳で亡くなられたとか・・・)の「舟歌」で。
こちらはアルカンの「舟歌」とは対照的に「明るい」舟歌だそうで。

遠かったけれど行ってよかった

コンサートが少しずつ復活しているものの、席数を減らして販売されていたりで、まだまだコンサートホールでピアノリサイタルを聴くのは難しい昨今・・・遠いけれど、聴きに行ってよかったと思うコンサートでした。

MCやステージ上の所作などからも、川口さんがとても真摯に音楽に取り組んでいらっしゃる方なのは伝わってきて、好感度一気にあがりました。

また機会をとらえて聴きにいきたいです♪

※休憩時間は、1843年製のフォルテピアノを撮影する人がステージ前に集まってました。