【妄想】音コン第1予選、自分なら何番を選ぶか

もしも、自分が小さいころから地道に練習を積み重ね、都内にある音大ピアノ科の学生だったとしたら、音コン第1予選にはベトソナ何番を選択するだろうか?

そもそも何のためにコンクールを受けるのか

そりゃもう、もしも自分が音大生だったら、国内最高峰の歴史あるコンクールで入賞することで、世間さまに周知していただき、演奏機会を得るとか、国際コンクール出場の足掛かりにするとか、あるいは海外留学への道を切り拓くとか・・・多かれ少なかれ、その次のステップへのマイルストーンなのでしょう。

だから、入賞しないことには話にならないし、そのためには、第1予選で落ちるわけにはいかない。

そして、それはライバルたちもみな同じだし、ここに出てくるような人たちは第1予選の課題曲は弾けて当然。そんな中での勝ち残るための戦略が必要なんだと思う。

まず最初は「負けないこと」を考える

何でもそうだと思うけれど、多くの中からいくつかを選ぼうとするとき、最初に「論外」なものを除外して、残った中から絞り込んでいくというやり方をしますよね。服を買うとき、あからさまに、サイズが違うものは論外だし、さすがにこれはなかろうっていう色味も除外する。

同じように、ベトソナを指定の中から1曲選ぶとすれば、「万一、これを引き当ててしまったら即あぼーんだろうな」と思うものは外す。そこで、もう一度、課題一覧をよく見る。

おおっ! これは地雷ですわ。

「繰り返しをしないこと」

これは要注意です。

第1予選は演奏人数も多いから、繰り返しは省略なんでしょう。そうすることで、ギリギリ、日程に人数を詰め込む。ソナタ形式の提示部の繰り返しを省略する、というのを想定して設定された制約条件かと思いますが、例外が書かれていないので、指定の課題曲の第1、第2楽章すべてに適用されるのですね。

そう、あの、「第22番の第2楽章とても!」です。

第22番の第2楽章って、最近の若いひとたちはごぞって爆速マシンガン弾きするやつ。

巨匠と呼ばれる方々は爆速マシンガン弾きはなさいません。アラウ(https://www.youtube.com/watch?v=QmC9NdWGJa4&ab_channel=ClaudioArrau-Topic)が6分30秒ほど。バレンボイム(https://www.youtube.com/watch?v=KOXm8nZtIkg&ab_channel=EuroArtsChannel)が6分ほど。

で・・・これって、繰り返ししているわけです。

この楽章、繰り返し省略したら、ほぼ半分になります。(ほぼ全部繰り返しで、最後にちょろっとコーダがある)

つまり・・・繰り返しを省略したら演奏時間が3分になってしまうのです。

爆速マシンガン弾きなら、2分ちょいかもしれません。

他のコンテスタントが、他の第1楽章を引き当てて、提示部の繰り返しだけ省略して、6分くらい?で、中身充実のキレッキレの演奏を披露したあとに、これを引き当ててしまったら・・・勝負の土俵に乗るんでしょうか? 正直、演奏時間2分?3分?で、ツェルニー練習曲みたいなこれを弾いて、勝ち目があるとは思えない。

ので、確率1/2のこの2楽章を引き当ててしまうリスク・・・勝ち進みたいコンクールでは忌避されるのでは? いや、もう、私だったら、即、第22番は除外します。

同様に、繰り返し記号がなくても、演奏時間が3分の、第24番「テレーゼ」の第2楽章も。ただ、これは第22番の第2楽章みたいにツェルニーマシンガンではないとは思いますが。

第1楽章でも、繰り返し記号が結局全体にかかっているものもあります。第1番第1楽章がそれ。やはり3分しか弾けません。

他の何かと組み合わせて弾くとかで、そっち(メイン)に時間をたくさんとりたいから、時間を節約したいという事情があるならともかく(あっても・・・どうなんでしょ?)、音コンの第1予選では1曲(単一楽章)しか弾けないのです。せっかくたどり着いたステージなので、3分しか弾けないリスクを背負うよりも、5分くらいは弾きたいな・・・とかいうのは素人考えなんでしょうね。

さてさて・・・逆に、長ければいいのか?というと、そうでもないような。

例えば、第16番の第2楽章なんて、12分くらいで弾いているピアニストも普通にいらっしゃる。短いひとでも10分は確実に超える。繰り返し記号は一切ありません。もちろん、だからといって途中カットしてよいはずがなく。

何度も言いますが、競合相手がソナタ形式の第1楽章を6分くらいで見事に演奏した直後に、これ、12分かけて弾く? ・・・ない、ない、絶対ない・・・。第16番も除外決定。

同様に、8分コースの第5番(第2楽章)も除外。

次に、アレですよ・・・。演奏時間は5分程度。まぁ、緩徐楽章を引き当てちゃった場合でも、演奏時間的には短すぎず長すぎず、ちょうどよい(やや短いかも?)のかもしれませんが・・・やはり、これはどうなん?という気がします。第8番「悲愴」の第2楽章。

ということで、ここまでで除外したものは、
第1番、第5番、第8番「悲愴」、第16番、第22番、第24番。

残ったものを吟味する

ここまでで残ったものは、

第2番、第3番、第4番、第7番、第11番、第15番、第17番、第27番 です。

さて・・・どうしましょう? 目的は勝ち進むことです。妄想世界なので、技術的には何の問題もないとすれば、やはり、自分の表現したいものが表現できる曲が欲しいですよね。

第2番はどうでしょう? すみません・・・これ、第2楽章を引き当ててしまったら、終わります。たぶん、この第2楽章、一番苦手かも。パス。

第11番。同様に、これも第2楽章に、他の第1楽章が見事に弾かれたあとで勝てる要素があるのかなぁ? 第4楽章は好きなんです。これが第2楽章ならよかったのに・・・無念。パス。

第17番「テンペスト」。これ、第1楽章はピアノ弾いてる人ならみんな弾いたことある(弾きたいと思ってる)定番曲だし、あえてこれを選ばなくてもいいかな。「悲愴」と同じ理由。第2楽章は味があると思うのですが・・・。パス。

すると・・・第3番、第4番、第7番、第15番、第27番が残るわけです。この中から選ぶことになるでしょうね。

実際の選択状況は?

ぶっちぎりで第27番を選択した人が多いようですよ(笑)

私が行ったのは第3日目だけですが、第1~2日目のプログラムも置いてあったのでもらってきました。それをちまちまと「正」の字書いて集計してみた結果です。第4日、第5日でどういう選択されているのかは私にはわからないのですが、傾向としてはあまり大きく変わらないのでは?という気がします。

そして・・・初日から第3日目までで、第22番を選択した人はゼロでした。

本物の音大生/ピアニストたちがどういう理由で第22番を選ばなかったのかは、本人のみぞ知る世界なんだとは思いますが・・・妄想コンテスタントの私も第22番は真っ先に外しましたからね。まるっきり見当違いというわけでもなさそう?