ベトソナ全曲演奏会 ここがすごい!

こんなイベントをアマチュアの手で企画・完遂できたのは、本当にすごいことだと思っています。演奏会って、演奏者だけで成り立つものではないのは周知のことですが、裏方方面でもこのイベントはすごかったなぁ・・・と。


私は今回3曲も担当したので、演奏だけに専念させていただくこととし、お手伝いには手をあげなかったのですが・・・


何がすごいのか・・・ひとつずつ取り上げていこうと思います。

Organizer がすごい!

全曲コンプリート企画とかは特に珍しくないです。ベトソナ全曲演奏会だって、やっているピアニストさんはたくさんいらっしゃる。だけど、複数回に分けるとかが王道路線ではないでしょうか。

今回のイベントは「1日で」「全32曲を」演奏することが求められます。
演奏者は担当する曲の「全楽章」を「指定時間以内で」演奏することが求められました。

「1日で」演奏するためには、ホールを終日使って、最初(開館から開演までの準備時間)と最後(終演から完全撤収まで)を除いた時間で、1番の最初の「C音」から32番の最後の「C」までを演奏しきらなきゃいけません。なので、曲ごとに制限時間が設定されました。ダラダラ弾いている人がいると最後までたどり着けないですからね。

しかも、1曲の全楽章をひとりで担当するわけですから、それができる人を32人(32曲分)集めなければなりません。

ここで、最大の問題は、29番「ハンマークラヴィーア」を指定時間内で弾ける「アマチュア」を確保できるかどうか、なのです。29番だけ欠番というのはNGです。全曲ですから。

だけど、我らがOrganizerさんは、ちゃんと29番を弾きそうな人に目星をつけてらっしゃって、入札前の弾きたい曲人気投票の段階からその人物を巻き込んでらっしゃるのが本当にすごい。

調律師がすごい!

本番当日を含め3日間、終日ホールを確保していただいてたので、わたしら演奏者は前日または前々日に会場リハができたのです。(これもOrganizerさんの配慮で、すごいです)

で、私も前日リハに行ったのです。当初は前々日に30分×3回(飛び飛びで)取っていたのですが、あとから、某バッハコンクールの参加を決めたので、さすがにその日はバッハの練習したかったし、バッハコンクールの時間割が確定した段階で、なんとか行けそうな時間が30分だけ取れたので、そこに。

で、30分を使って行ったのはこんなこと。

①ステージでポン!と手をたたく。(残響の確認)

 →ほぼ、響かない(泣) 楽器に期待するしか・・・。

②ピアノでffの音を連打する。(22番1楽章)

 →うぅぅ(泣)

③ピアノでppの音を弾く。(22番1楽章、②の部分の直後)

 →マシな感じがする。

④速いパッセージを弾く。(22番2楽章)

 →あかん!(絶望) 鍵盤の当たるとこが深すぎて、鍵盤の返りが遅すぎる。

⑤和音、アルペジオ、いろいろ試す。(11番1楽章)

 →つらたん・・・orz

⑥トリル、連符試す。(16番2楽章)

 →奈落に突き落とされる・・・orz

もう、試せば試すほど、絶望度が増していく楽器。これはツライわ。予定では計3曲で4~5分、制限時間より巻ける予定だったけれど、制限時間ギリギリの安全走行しなきゃダメだわ。とはいえ、そんな練習していないので、急いで帰って練習しなきゃ! 30分しかリハ時間取ってなくてよかったかも(苦笑)

帰る際にOrganizerさんに「鍵盤、(当たるとこ)深いですね」とだけお伝えしたものの、それが調律師さんにどう伝わるのか・・・。

で、私が帰ったあとだと思うのですが、このイベントの調律師さんが来られて、私のあとにリハしていた人たちの音を聴きながら、やはり楽器の状態に絶望されつつも、その日の夜3時間で、この楽器を「何とか使える状態」にしていただけました。翌日は鍵盤が浅いところで当たるようになってたし、戻りも早くてよかったです。

とはいえ、もともとの楽器の状態が状態なので、この調律師さんのベストな仕上げ状態とは程遠かったに違いないです。

やはりもともとの楽器の状態が悪いのはどうしようもなく、低音弦はビーンビーンと鳴るわ、ピッチも怪しい。

これもまたOrganizerさんのすごい!になるんですが、この日、調律師さんを一日待機させてくださってまして。そりゃそうですよね・・・ベトソナを一日中弾き続けるわけですから、普通の使用状態とはかけ離れています。調律師さん抜きには成り立たないのでは?

スタッフがすごい!

よくあるアマチュアの演奏会って、出演者が出番以外にいろんな役割を分担する形態です。でも、今回(だけじゃないけど・・・)スタッフ業務だけのために終日会場にいらっしゃった方々がおられます。

まず、受付の方がすごい!

このイベントでは、各曲の楽章間での客席出入りは禁止で、曲間(つまり演奏者の出入りにあわせて)のみ出入り可能となっていましたので、演奏中の曲の終楽章の終わりあたりにホワイエにいる人に声掛けし、出入り口のドアに案内、ドア開閉をされました。

その「終楽章の終わりあたり」をチェックするために、手元にiPadを置き、受付対応をされつつ、曲の進行をチェックされているという・・・もう、神業的な受付対応、ありがとうございます。

バックステージがすごい!

当初、演奏者として参加予定されていながら、ケガで断念された方・・・バックステージで出番前の演奏者の写真撮影を終日担当してくださってました! (いったい、いつご飯食べたのだろう・・・)あと、ご自身でお持ちのベートーヴェン自筆譜を受付に置いて、来場者に見せてくださったり。

出演できなくなった演奏会に、こういう形で参加して・・・もう、神ですよ!

出番前、緊張しているところに、優しく声掛けしてくださるので、とても穏やかな気持ちでステージに向かえたり。感謝してもしすぎることはないです。

録画・編集担当がすごい!

みんな疲れているのに・・・演奏もそれぞれの出番をきちんとこなされた上で、出演者の演奏動画を撮影してくださり、それを「当日のうちに」切り分け、クラウドにアップしてくださった方が複数。ライブ配信のアーカイブ、公式の固定カメラでの録画に加え、ボランティア的な?追加の動画もあって、もうどれだけお礼言っても言い足りない! 

で・・・それって、すべて、Organizerさんの人望がなせるわざなんだよな・・・と、やはりそこに落ち着く。