雑感:音と音楽について③

前2つの投稿で、くどくどと書いているけれど、要するに、その場その場の音風景ってものがあって、それはバランスのとれた状態で調和しているということが言いたいのですね。

なので、そこに本来は存在しない音を持ち込むには配慮が必要かな?ということ。

自分にとって「音楽」であっても、それはその場のもともとある音風景にとっては闖入者となるケースもあるから。

では、その場で受容される音って何だろうな?と考える。

<コンサートホールで演奏される音楽>

これはもう、音の提供者が「こういう楽曲を演奏するよ」と告知し、それに興味を持った人が「それ、聴きたい♪」と、時間とお金を投資して聴きに行く。音の提供者も、享受する人も、あらかじめその「音楽」を期待しているから、どっちもハッピーなWin-Win。

カフェなどでミニコンサートが開催される場合も同様かな。

事前に「そういうものがある」ということを知ってその場に来る人もいるだろうし、たまたまその場に居合わせたひとも「あぁ、今日はそういうのがあるのね(ラッキー♪)」と思えばそのまま耳を傾けるだろうし、それがイヤな人はその時間帯を外して来るだろうし。(たいてい、そういうミニコンサートのある時は、お店の入り口に看板出てたりしますから)

<ストリートピアノ>

駅とか商店街とか、いろんな公共スペースに置いてある「公衆ピアノ」が近年増えてきています。そして、いろんな問題がクローズアップされています。(人が集まりすぎて危険だとか、弱者への誘導サイン音がかき消されるとか、商売の邪魔だとか・・・)

結局、それらって、もとからある音風景をぶち壊すから問題になるのであって、そういう場所のピアノは撤去されることもありました。

逆に、何かのイベントの一環で置いてあるようなケースはガンガン弾いて盛り上げちゃってね~♪な要素があるし、騒音っていうくくりでは問題にされない。

で、長々と書いてきてようやく、ようやく、ここにたどり着いたのだけれど・・・

「ホテルのラウンジに置いてあるピアノ。

ホテルのラウンジって、かすかにBGMが流れていたりする中で、お客さんがそれぞれの目的で時間を過ごしている場所かな。宿泊客だったり、あるいはそこで商談している人もいるかもしれないし、結婚式の下見に来たカップルもいるかも・・・とにかくいろんな人がいろんなふうに使っているけれど、ある種の静寂はある。厳密には静寂ではないのだけれど、周囲がうるさくて、会話が聞こえにくいというような状況にはあまりない。そういう場所として利用客もお互いに配慮し合っているというか・・・。

で、そういうラウンジでも、プロのピアニストを呼んでミニコンサートを行ったりしていて、そういう時に活躍するピアノ。

もちろん、そのミニコンサートは事前に告知されているし、それを目的に来る人もいるだろうし、たまたま居合わせた人も「ホテル主催のイベント」なのだからそのまま受容する。

そういった場所で、プロのコンサートのある時以外は、「どうぞご自由に(弾いてOK)」となっていることもある。基本はそのラウンジの利用客が「あら、こんなところにピアノがあるのね? ちょっと1曲弾いてみようかしら?」という感じで弾くことを想定されていると思う。

ところが・・・今のネット社会は情報があふれていて、「公衆ピアノ弾き」がストリートピアノの設置情報を収集し、そういった場所に特攻するケースがあると知った。

某SNS上で、その特攻公衆ピアノ弾きさんが投稿していたのを見て衝撃を受けた。

要約すると・・・

 ・1泊6万以上する高級ホテルのラウンジ(ドリンク1杯2000円)

 ・コンサートのつもりで、独占して7曲を演奏

  (7曲の中には著作権の切れていない楽曲2曲を含む)

 ・弾くだけ弾いたら「時間がなかったので」弾き逃げ

ということを、自慢げに投稿されている。

さすがに、これはないだろうと思った。

ホテルのラウンジの利用客は、そんなアマチュア公衆ピアノ弾きの演奏を聴くためにその場にいるのではない。7曲ともなれば、最低でも30分は弾き続けていたのだろう。

「公衆ピアノ」でも30分独占はどうかと思うのだが、それを、ホテルという商業空間で、そこの利用客のことなどおかまいなしに、ジャイアンリサイタルを敢行?

その空間の音風景が出来ている中、ラウンジを利用するつもりは皆無で、ただグランドピアノが弾きたい、誰でもいいから自分の演奏を聴かせたい、もちろんビタ1文払うつもりはない・・・といったところか。

ストリートピアノ、様々な問題がクローズアップされているけれど、

場の空気、音風景への配慮のない身勝手な公衆ピアノ弾きの意識が、ほんの少しだけでも周囲に向けられれば、いくぶん(かなり?)問題は解消するのではないか。